
2023年3月24日
「ようやく理解できたこと」
以前にもリフォームさせていただいたOB施主様よりお家の修繕依頼がありましたので、現場を見に行きました。以前のリフォームは介護が必要になったばかりのご主人の為にリフォームをしました。久しぶりにお伺いしましたが、ご主人は歩くこともできなくなり、食事も口から取れなくなっていました。奥様が「お父さんの状態はどう?」「お母さんとお父さんを大切にね」と、ご自身が大変でも私のことを気にかけ声をかけてくれます。とてもありがたい気持ちになります。自分が「親」になって、もうずいぶん経ちますが、最近「親」というものの苦労がようやく理解できてきています。
長男の倫太朗が4月から高校に進学します。たった15年前に産まれた可愛い男の子が、もう親元を離れます。あっという間に15年…妻は倫太朗のことを思い出すたびに涙を浮かべていますが、母が息子を思う気持ちはとても深いものなんですね。


そんな倫太朗がバスケット強豪校の門を叩き、コーチに寮を確保してもらい、推薦入試でとある高校に入学することになりました。3月の卒業式が終わると直ぐに入寮の準備に取り掛かり、先週15日から自宅を出て寮で暮らしています。
チャレンジャーとして自ら売り込みをし、コーチに入れてもらったバスケ部。他の新1年生は、ナショナル育成選手に合格している者や中学生で一回転ダンク出来る者、父親がバスケット選手だった子など…全国からコーチが集めた特待生ばかりです。そんな中でバスケを続けられるのだろうか…私は既に不安に駆られています。
朝は5時半に起き、朝練〜食事〜自主練習〜全体練習〜昼食〜全体練習〜自主練〜夕食〜自主練…と夜までずっと体育館にいるようです。LINEをしてもなかなか既読にさえなりません。合間に洗濯をし、風呂に入り、睡眠を確保しているようです。きっとすごい奴らを目のあたりにして、悔しくて歯を食いしばって練習しているんだと思います。
ちょっとした収容所のような暮らしぶりに、親としては心配で本人の声を聴きたいと連絡してみますが、本人はあっさりしたものでLINEも「うん」とか「おけ」とか…寂しい返事しかありません。子供を見守ることさえも、親側にとっては努力が必要なことなんだと理解しました。妻が倫太朗のことになると泣いてばかりいるので私は極力笑うようにしていますが、私も一人になると自然にしんみりしてくるので、心理の深い部分で悲しいのです。
遠征費や身の回りのもので、お金もたくさん必要です。まだ二人、兄弟もいます。当初からわかりきっていることなのですが、いざ現実を目のあたりにして私も不安でビビっているんです…。Jr.クラブチームでのコーチや他の保護者の方も「よく選択したよね」とか「頭おかしいんじゃね〜(笑)」とかアドバイスをしてくれていましたが、今ようやく理解しました。
それでも彼を見守るしかないですよね。彼が自分に負けてバスケを例え辞めたとしても、それを受け入れて癒すことしか僕らができることはありません。彼が自分で決めたことではありますが、「本当に正しかったのか…」と親の方が罪悪感が出てしまっています。
先日、近畿大学の卒業式でサッカーの本田圭祐さんがスピーチをしている動画を観ました。「環境にこだわってきた」という内容でした。「自分が努力をしていると思っていても、一流の人間が目の前に現れた時、打ちのめされてしまうかもしれない。そうならない為に、例えビックマウスと言われようと一流のメンバーで一流の練習ができる環境にこだわって今まで来たのだ…みんなも環境に拘ってほしい」というスピーチを聞いて、ほんの少しだけ救われました。
親も人間。悩み苦しみながら自分も育ててくれたのだと思うと、自然に母や父に感謝の気持ちがわいてきます。お客様からいただいた言葉「お父さんとお母さんを大事にしてね」…あっという間の時間を、大切にしたいですね。青山建設で母と一緒に仕事ができる「今」も、きっと一瞬で過ぎ去ってしまうのですよね…。大切にしないと。
2023年3月23日
「ZEHへの考え方について」
先日のコラムでZEHを全体主義的だとか太陽光の闇みたいなことを言って批判してしまいましたが…早速、謝ります。少し業務に余裕が出来たので、勉強として経済産業省の「ZEHの定義」を読んでいます。(国交省じゃなく、経済産業省主導ってことは気に入らないけど…。)導入しなければならない再生可能エネルギーは、太陽光だけじゃないみたい…本当失礼しました。すみません、勉強不足で…。(._.) 太陽熱やバイオマス・風力・水力・地熱とか…これなら僕が懸念する問題もクリアできるかもしれない。そう思ったので、少し僕なりのZEHを構築する取り組みをしてみます。
国はZEH義務化を推進しています。今にZEHじゃないとお家が作れなくなってしまいそうです。住宅の設計をしたい僕としては、それは苦しいことです。それならば「完全に自分が納得できる高性能住宅のZEHプランをしてやろう!!」…って、そう思いました。
太陽光ばかり載せていたら、送配電の問題やパネルの廃棄問題、特定の国への資金流出など問題が山積みです。また、我が国自体も資源がない国だからこそ、特定の資源に偏ったらいけないってことが、最近の電気代やガス代の高騰でよく理解出来たじゃないですか。
天候の不安定さや戦争・紛争でのエネルギー遮断…こういったリスクを分散するためには、天然ガスも石油も原子力も太陽エネルギーも万遍なく利用する。これが日本の打てる手段だと思っています。
2023年3月22日
「高気密化と計画換気の関係」
前回のコラムでは、高性能住宅の要素について書きました。その要素のうち、「高気密化」と「計画換気の有効性」はめちゃくちゃ密接に関係しています。住宅の換気というのは、「温度差による換気量」と「風力の影響で起こる換気量」と「機械での計画換気による換気量」の3つを合計した量が住宅の「総換気量」になります。しかし、建物に隙間が存在すると、その両端の温度差で圧力差が生じます。
建物の中を暖かくして外気温がめっちゃ寒い場合、圧力差が生じて空気の流れが起きます。風が強く吹いて建物に当たる場合、隙間が生じていると風上では内部に侵入し、風下では内部から空気が出ていきます。だから計画した換気の有効性を高くしたい場合は、当然「高気密化」が必要になっていくのです。
気密の数値が大切なのに、その数値は補助金にも国の基準にも取り上げられていません。それは…気密を高めても誰も儲からないからです。断熱力を高めれば断熱メーカーが儲かります。サッシを高性能サッシに変えればサッシメーカーが儲かります。でも、気密を高めるためには手間暇とノウハウが必要になり、逆に「儲け」とは程遠い作業になります。
世の中というのは切ないです…。でも、1棟でも素敵で快適なお家を作るために、青山建設は真面目にコツコツ頑張ります。それしかないので。
2023年3月17日
「空っぽの高性能住宅」
本当の高性能住宅とは、「高断熱」「高気密」「計画換気の有効性」「全室同温度・同湿度」「蓄熱保温性」が経年しても確保される住宅のことです。今はマーケティングで、SNSやホームページに「高性能住宅」を謳う会社ばかりになっています。さらに「ZEH住宅」が出てきて「ZEH住宅だったら安心!!」みたいな…消費者側のイメージも社会に広がり、私としては憂いが増すばかりです。経年しても、「高断熱」「高気密」「計画換気の有効性」「全室同温度・同湿度」「蓄熱保温性」の5つの項目がしっかり担保される住宅が、本当の意味での「高性能住宅」です。この5つを固めたあと、資金に余裕があったらエネルギーを作り貯める機械を設置する…これが本来の道理のはずです。
それなのに、エネルギーを作りだす金額を最初から予算に組み込んで、数値だけ基準を上回った設計住宅に「ZEH」の称号を与える。そして補助金をあたえる。こんなことが、まかり通る世の中になっているのです。道理はもはや通用しない…。
エネルギーを作りだす太陽光パネルは、特定の国が世界的なシェアを独占している状況です。さらにそのパネルを製作するにあたっては、特定の民族が虐げられて労働させられる…という世界的な問題も存在しています。
にもかかわらず、国はその住宅に補助金を出し、「ZEH住宅」を推進する会社を優遇する。さらに毎年「ZEH住宅を何棟目標にするか」「何棟作ったか」を表示する義務まで課す…これこそ、補助金をエサにした管理型全体主義的社会に移行している形ではないでしょうか?
…私にはできません。「自分たちさえ良ければ」という思想を基にした営利活動はできません。もちろん、お客様が太陽光を搭載したいという希望は尊重します。けれども 先述した5つの要素をしっかり押さえてからだと思います。そして、太陽光パネルの設置は別途工事にしてもらっています。
そろそろ真剣に考えなければなりません。「自分たちさえ良ければよい」という雰囲気を改める術を…。そのために、弊社は「ZEH住宅」に登録していないのです。登録していなくて補助金事業に参加出来ないことで、きっとお客さんからも選らばれる可能性が低くなっていることでしょう。
それでも、不器用でも守らなければならないものは、「生きる」ことの意味を見いだすためにも守らなければいけない…それが私の考えです。
2023年3月2日
「弓道場建設工事」
愛知県の公共工事で、県立高校の弓道場を新しく建築させていただきました。
小さい建物でしたが、鉄筋コンクリートや鉄骨…と工事が多種に渡ったため、書類作りなどが大変でした。以前のコラムに書かせて頂いた「安土」作りも苦労しました。20数年建築に携わってきた中でも 思い出に残る物件です。
私が幼い頃は、公共建築物を手掛けると式典で「感謝状」がいただけたみたいです。昔、事務所にたくさん飾ってあったのを覚えています。その中に、どこかの県立高校の弓道場があったことだけは記憶に残っています。祖父か父かは解りませんが…。
祖父も父も今では内容を聞くことができませんので、今回の工事では色々悩み作りましたが、聞けていたらもう少し楽だったかなぁ〜…。
私が幼い頃は、公共建築物を手掛けると式典で「感謝状」がいただけたみたいです。昔、事務所にたくさん飾ってあったのを覚えています。その中に、どこかの県立高校の弓道場があったことだけは記憶に残っています。祖父か父かは解りませんが…。
祖父も父も今では内容を聞くことができませんので、今回の工事では色々悩み作りましたが、聞けていたらもう少し楽だったかなぁ〜…。
2023年2月21日
「外壁メンテナンス」
20年前に弊社で「FPの家」を建築してくださったOB施主さんから、外壁を見てほしいという依頼がありました。状態は…サイディングのシーリングが劣化して寿命でした。南面や西面の太陽光線のよく当たる所でしたが、長持ちしましたね。私は10年での外壁シーリング打ち換えは、「やった方が良い」と推奨して煽ったりはしません。もちろん、めちゃくちゃ劣化していたら別ですが、シーリングを押すと弾性がある状態がほとんどです。外壁シーリングを打ち換えるには足場が不可欠ですので、折角足場を組むなら樋の塗装剥げや、足場がないと修繕出来ない他の場所も一緒にやりたいですよね。だから、「まだ大丈夫」なものは出来得るだけ引っ張り、お施主様の出費を抑えることを考えます。(自分なら当然そうですから。)

サイディングのシーリング打ち換えには、オートン化学工業のオートンシーラントを使用します。私はこのシーリング材の信頼性が一番高い気がします。
シーリングの接着性を確認するのに、簡易接着試験という方法があります。これは、使用するサイディングとシーリングプライマー(接着剤)を実際に使って、簡易的に性能を試験する方法です。カットサンプルにあらかじめシーリングを打っておき硬化を待って引っ張りますが、シーリングが引っ張られて剥がれず途中で「バチっ!」とせん断的に千切れると合格です。


何度も足場を組んで打ち換え出来ないですから、しっかり施工したいですよね。
ちなみに…修繕で足場を設置した場合は、瓦の漆喰剥がれを確認したり、樋の内部や換気口ガラリを掃除するなど、一緒に修繕出来るところのピックアップやなかなかできない部分の清掃も同時にできるといいですね!
2023年2月16日
「災い転じて福」
県立高校の弓道場を新築しておりますが、弓道には的を設置する「安土」という土塁が存在します。それも工事に含まれているため、絶対に完成させなければなりません。通常、体育館の内部設備やスポーツ関係の設備は専門の業者がいます。そのスポーツ施設専門の業者に、最初相談をしました。弊社と以前から取引のある会社です。見積を依頼すると…なんと「辞退」という回答が返ってきました。その会社では経験がないとのこと…特殊なんですね。「これはまずいぞ」と思い、ホームページを検索して愛知県で手広く手掛けていそうな安土専門業者さんに声を掛けました。結果…「人手不足で工事部隊の仕事が手一杯で受付られない!!」とのこと…焦りました。
県立高校の事務長さんにもご協力いただいて、高校と取引のある大きなスポーツ施設会社にも繋げていただきましたが、そこも同じく「1月2月はいっぱい…3月なら」との回答。工期が2月15日ですから…間に合いません!!秋に依頼してたら遅かったのですね。反省…。
この頃には、冗談も言えないぐらい青ざめています。私の顔。それでも、20数年建築を現場からやって来た、いわゆるエリートではない叩き上げ(笑)ですから…「自分で作ろう!!」そう思ったのです。(←バカ) さて、そう思えたのは前向きなので良かったのですが、どうしたものか…もちろん、工事は「安土」だけでなく建物も仕上げなければなりません。公共工事は書類もうんざりするぐらいあります。
まずはネットで検索して、全国の「安土」を作る業者さんのホームページを隈なく見ました。その後「YouTube」で動画を見まくりました。動画やホームページで概ねの作り方といいますか、流れまでは理解できました。けれど、肝心な材料の構成配合や厚みなど、細かいことがわからないのです。
段々夜も眠れなくなってきて、手の甲に湿疹ができ始めます。でも、天は見捨てずに私に助けをくれていました。なんと!!現在リノーベーションをしているお施主様が、他県の私立高校の弓道部の顧問先生だったのです。「ありがとうございます!」…涙、ちょちょぎれます。
そのお客様にいろいろアドバイスをもらうことが出来て、なんとか自分なりに材料の量や練り混ぜ比率、厚みの構成がわかってきました。矢が刺さる土ですから、刺さる深さや柔らかさがポイントになりますよね。
さて…あとは工事を行う人間の手配です。何度もくじけそうになりますが、そのたびに「安土を作っている人も同じ人間!諦めなければできる!!」と自分に言い聞かせ、「最悪、契約不履行だけは避けなければならない」「一度作り終えて、もしダメなら損してでもやり直せばいい!!」…そうやって恐怖に打ちのめされる自分を慰めました。

本当なら重機を使って土を斜めに固めていけば簡単なんでしょうが…新築で屋根も低くあり、建物にぶつけてキズをつけてしまったら、これまた仕事が増えます。そこで、今回は「人力」を選択しました。重機が使えるケースなら、重機を使うほうが安く済むはずです。
これはいつもお付き合いのある鳶・土工業者さんにお願いをして、ちょうど仕事が薄い時期をあらかじめ聞いて、そこで土を積み上げる計画を立てました。袋はいつか自然に帰ることが出来る自然素材のものを使うほうが良いと判断し、お値段は2倍ほどしますが麻の袋を150枚ほど用意して土を入れ、私も一緒に作業をして真冬なのに汗だくになりながら積んでいきます。所々で水を打ち湿らせて、沈ませて積んでいきます。
それが形作られたら 次は安土の構成される材料です。土・砂・おが粉・水…たったこれだけの材料で安土は成り立ってます。安土専門の業者さんに断られる電話で、うっすら「自分でやる」選択を思い浮かべていた私は、「おが粉の樹種は何か??」と聞き出しました。答えは…「檜」!
弊社は木造住宅が最も得意な会社です。檜のおが粉の仕入れルートなら大丈夫!!早速、東白川の森林組合に材木屋さんから連絡をしてもらい、100%東濃檜のおが粉を手に入れました。そして、層や高さの位置を考慮しながら左官屋さんと一緒に「水」の配合を考えて練りまぜました。

弓道部の顧問先生や部員の生徒さんたちにも途中で見て触っていただいて、感触を得てなんとか作り終えました。
ようやく、ぐっすり眠れるようになりました。契約不履行にならずホッとしています。そして、断られて自分でやり遂げたことで、人間の人工数・材料の量、水の配合、おが粉の混入量調整などのノウハウが、感覚として蓄積されました。もう、安土のご依頼をしていただいても大丈夫です!!弓道場の安土に困っていたら、ぜひお気軽に相談ください。
2023年1月27日
2023年1月1日
「変化の年」
2023年、新年おめでとうございます。私は今年で46歳です。長男は夏で16歳なります。今年高校受験です。彼はバスケットボールで推薦受験を希望してます。「バスケットでプロになりたい」という希望をかなえるべく何度も話し合いをして、いわゆる全国に行くような「強豪校」といわれるところへチャレンジャーとして挑戦したいそうです。
全国から、高身長でハイスペックな輩がスポーツ特待で集まる中、どれだけチャンスがあるかもわかりません。身長185cm前後では小さいほうなのです…。この境遇だけで挫折するかもしれないですし、途中でケガやアクシデントに合うかもしれません。それでも、彼は行きたいというのです。
父親として、応援するしかないです。推薦入試で合格出来たら、4月から寮生活…我々の元を巣立ちます。今年は変化の年になりそうです。
僕が中学校3年生の時、クラスのみんなで入れたタイムカプセルには「建築士になって青山建設を継ぐ」って書いてあったそうです。(タイムカプセルを開けたときに私は参加できなかったため人伝えですが…。) 自分では継ぎたくて継いだのではないと思ってましたが…自分で継いだんですね。(笑)
46歳になっても毎日、悩んで苦しんで「向いてない…向いてない」とへこんでおりますが(笑)、息子に負けないように頑張ろう!!